ー 私が適正糖質メニューや商品開発に注力しているのは山田医師からの一通の手紙がきっかけです。
2008年頃、銀座ラ・トゥールに「糖尿病患者でも食べられる、低糖質のおいしい食事を作れませんか?」と 北里研究所病院の山田医師(ロカボ提唱者)から手紙が届きました。 以来、低糖質・糖質制限の世界で生きています。運命です。 その後、糖尿病になり、山田医師は私の主治医に。 今回共演していることに、本当に縁を感じています(笑)
ー 当時の適正糖質メニューは、病院食というイメージが強かった。 それが悔しくて、おいしさの追求に貪欲に。
ご提案しているメニューに、Pascoの低糖質シリーズを使った料理は7品あります。 フレンチシェフの私が言うのも変ですが、低糖質パンは和食の方が合いますね(笑)。 無理なく低糖質パンを取り入れてもらえるよう味の妥協は一切していません。 ですから本音は、糖質制限関係なく、一人でも多くの方に試してもらえると嬉しいです。
ー 病気にならないための食事をもっと普及させたい。 糖尿病になったら一生ついてまわります。
糖質について勉強する中、私自身が糖尿病になる中、今まで知らなかった事実に直面することに。 それは、小児糖尿病の患者数の多さ。国内のみならず世界的に増えています。 いわゆる糖質制限も大事ですが、病気にならないための糖質制限があってもいいのでは。 健康な人も普段の食事から適度な糖質を摂る食文化を普及させることは、私の使命だと感じています。
ー 大人も甘いものは、いっぱい食べたい。私自身、糖尿病になった今でも甘いものはやめられません(笑)。
糖質制限していても大抵の人は、糖質を気にせず甘いものを食べたいと思っていますが、みなさん我慢しているだけ。 それを知っているので、自分を含む糖尿病患者さん・妊婦さん、ダイエット中の方のために、アイスクリームやプリン、 ジャムなど安全でおいしい糖質制限商品の開発を帝京大学と共同で取り組んでいます。 おいしく楽しくがロカボの考えですので、これからも料理人として食べる楽しみを守りたいですね。
25歳で三ツ星レストラン「トゥールジャルダン」入社。 以降、パリと日本で技術の研鑽を重ね、2006年「銀座ラ・トゥール」オープン。 ミシュランの星の獲得や「料理の鉄人」はじめメディアに多数出演、 フランス料理界の発展に貢献。 現在は、糖質制限食品の開発に情熱を注ぐ。