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ゆめちから入り食パン開発秘話

「ゆめちから入り食パン」は2015年3月末日をもって販売を終了。

2015年4月より「超熟 国産小麦」を発売。

ゆめちから入り食パンの開発秘話

※肩書きは取材当時のものです。

ゆめちから入り食パンの開発秘話

『ゆめちから』を使ったパンの企画や開発シーンでは、関わる人物が何を感じ、
どのようなことを考え、知識や知恵をどう活かしていったのか。
製品企画や開発に携わった3人が集まって座談会を開き、これまでの取り組みを振り返ってみました。
“ゆめちからパン”に託された「これから」にも思いを馳せます。

高光健太郎

開発研究部 パン開発G 主任研究員

高光健太郎

上野恵美子

マーケティング部 製品企画G チーフ

上野恵美子

秋保良美

マーケティング部 製品企画G 担当

秋保良美

『ゆめちから』の研究と生産その思いに触れ、圧倒された

『ゆめちから』の研究と生産その思いに触れ、圧倒された

―― なぜ、『ゆめちから』を使ったパンの開発を始めた?

上野:会社としてこの取り組みを始めた背景には、“小麦をはじめとした、国産農産物を使用し、食料自給率向上に貢献したい”という思いがあります。食料自給率低下が問題となるなかで、当社にできることはないかと。これは創業理念の「パンづくりで社会に貢献する」という考えに基づいています。

高光健太郎

開発研究部 パン開発G 主任研究員

高光健太郎

――『ゆめちから』を使ったパンの開発に参画した当初の思いは?

高光:私の関わりのスタートは、農林水産省の “『ゆめちから』の製パン適性の解明と『ゆめちから』を利用した特徴ある製品開発”という3年間のプロジェクトに参加させてもらったことでした。パンに使いやすい国産小麦が存在する。会社としても、国産小麦を使用したパンの開発への機運が高まっていました。

上野:私はこの取り組みに声を掛けてもらった当初、東京で開かれる『ゆめちから』のフォーラムに「まずは行ってきて」という達しを受け、何がなにやら把握しきれていない状態で参加した覚えがあります。しかも当日の会場には、普段の仕事では関わったことのないような研究者や生産者の方々が大勢集まっていたし、当社からも開発の錚々たる面々が出席していたし、まずそこで圧倒されました。その会場の異様な盛り上がりに、正直なところ、呆気にとられてしまいました…。国産小麦とは言ってもたったの一品種にこれだけの盛り上がりが起こっている理由を、すぐには理解できなかったんです。この小麦を使って売れる製品を作るなんて本当に可能なんだろうか…という思いが、はじめはありました。

上野恵美子

マーケティング部 製品企画G チーフ

上野恵美子

いよいよパンづくり
開発の苦労と商品化の悩み

いよいよパンづくり開発の苦労と商品化の悩み

―― 開発や企画において、どんな苦労や努力があった?

高光:苦労したのは工場での生産でした。試作の段階で私たちが手で作る分には、『ゆめちから』は確かに製パン適性が高い小麦だと感じたんです。ですが工場で生産すると、食パンの側面が折れてしまうなどなかなか思い通りに作ることができませんでした。小麦粉のブレンド比率を変えたり、発酵時間を調整したり、焼く温度を調整したり…。複数の部署に協力をしてもらって、何度もテストを重ね克服していきました。また、『ゆめちから』の特徴でもある「もっちりとした食感」をどう活かすかという点も苦労しました。「もっちり感」が強すぎても好まれないため、美味しく感じていただける最適な食感を求めて、何度も小麦粉のブレンド比率を見直しました。

上野:2012年6月に1ヵ月限定で「ゆめちから入り食パン」を発売した時は、迷ったり悩んだりしている暇がなかったように思います。開発チームの研究成果を、製品としてどう表現するかということで精一杯でした。けれども2013年4月に再発売した時は気持ちの負担がありました。限定発売の時は、食料自給率向上に向けての取り組みや製品の味については評価をいただけたけれど、1斤300円と他の食パンと比べ高価格であったため、なかなかお客さまに手に取ってはいただけませんでした。一方で、研究者や生産者の方々からは期待をしていただいており、社内からも多くの視線が注がれる。各方面の思いに応えるにはと、本当に悩みました。そんな状況で支えになったのは、開発チームが「限定販売時よりもっと高い品質にできる」と後押しをしてくれたこと。初年度よりブラッシュアップした商品にできそうだという手応えがあったので、前に進めたのだと思います。

秋保良美

マーケティング部 製品企画G 担当

秋保良美

―― 本格展開した「ゆめちから入り食パン」、パッケージの工夫は?

上野:限定販売時のパッケージは、国産小麦ということで日の丸の赤と、高級感を表現した金色を使っていました。ですが、このパッケージのコンセプトはきちんとご説明しないと伝わりませんでした。
また、暖色系パッケージの多い食パン売場の中では他の商品に埋もれてしまっていました。そこで再発売の時にはパンのパッケージとしては珍しいのですが、シンプルで存在感があり、上品さを印象付けることのできる「黒」を採用しました。北海道の小麦畑を見せていただく機会のあった私としては、もっとナチュラルな緑色や茶色で美味しさを表現したかった気持ちもありましたが、まず多くの方に目に止めてもらいたい、と。

ストーリーを持つ『ゆめちから』
それを表現するパンの選択肢を広げたい

ストーリーを持つ『ゆめちから』それを表現するパンの選択肢を広げたい

―― 『ゆめちから』を使ったパン作りの、今後の取り組みは?

上野:これからはもっとお客様にとってわかりやすいものに育てていくべきだと感じています。そこで新しいメンバーに入ってもらい、『ゆめちから』で作るパンの可能性をより広げていければと考えています。

秋保:先日、初めて北海道の小麦生産者さんの方々を訪ねたことをきっかけに、この取り組みに込められた先輩たちの思いを理解できるようになりました。やはりその思いは引き継いでいきたいと思います。一方で、食パンに加え、ベーグルなど新しい食卓パンも発売していき、お客様にもっと楽しんでいただけるよう商品のバリエーションを広げていきたいです。「いつもより少し贅沢をしたい」「特別な気分を味わいたい」といったニーズがあり、そこには、食べるものの背景やストーリーを知ったうえで味わいたいという気持ちがあるはずです。そんな気持ちに応え得るストーリー性を、『ゆめちから』は持っていると思います。そこもうまく表現していきたいです。

高光:『ゆめちから』に込められた食料自給率向上というテーマは、当社がこれからも取り組み続けていくテーマです。国産の小麦粉以外にも米粉を使ったパンに取り組んでいることもそのひとつと言えると思います。

上野:もっと当たり前に買ってもらえたら、と思います。今は“国産小麦のパン”というと特別感がありますが、それが当たり前になって、もっとそういったパンが増えて自由に選べるようになる。それが理想です。

高光:僕は『ゆめちから』をお米の『コシヒカリ』のようにブランド化することも夢としてあります。もっと高級感を感じてもらうか、もっと気軽で当たり前に楽しんでもらうか。どちらであっても、国産のものを食べようという広がりになったら嬉しいです。