超熟®でアレンジいろいろパン離乳食

Pasco超熟

悩む赤ちゃん・子どもの偏食は、
正しい成長過程!?管理栄養士の回答は
「工夫は必要だけど焦る必要はなし」

離乳食や幼児食を進めるなかでよくある「白米やうどん、パンなど、炭水化物以外はほとんど食べてくれない」「とにかく野菜がダメで、口からだしてしまう」といったお悩み。あまりに食が偏ると、栄養が足りているのか、成長に影響はないのかなど、不安になりますよね。そこで、ご自身も2人のお子さんを育てる管理栄養士の中村美穂先生に、離乳食・幼児食で偏食が多いワケと、その対策について聞きました。

赤ちゃん・子どもはザラザラ・パサパサ食感が苦手。
離乳中期以降「炭水化物オンリー」の悩みには、
ごはんなどに食材を混ぜ込む工夫を

離乳初期

食べることに慣れる時期。赤ちゃんは本能的に甘い味(母乳、ミルクの味)が好きなので、苦みや酸味のある食材はびっくりして拒否することが普通です。食べられない食材があっても、授乳がしっかりできていれば栄養面での心配はないので、いろいろな味を少しずつ経験させてあげる気持ちでゆっくり進めましょう。

離乳中期

まだ授乳が中心の時期ですが、タンパク質や野菜も増やしたい時期です。肉や野菜のざらつき、ぱさつきなどの食感が食べにくくて嫌がることも多いので、なめらかにしてとろみをつける、炭水化物のメニューに少しずつ混ぜるなど工夫をしましょう。
また、赤ちゃんは甘みがあり食べやすいものを好むので、絹ごし豆腐やバナナなどで、舌でつぶして食べる練習をするのもおすすめです。

離乳後期・完了期

離乳食からとりたい栄養量が授乳を上回るようにしたい時期。炭水化物だけでは栄養が足りず、タンパク質不足・鉄不足が心配になるころ。蒸しパンやごはん、おやきに、野菜やしらす干しを混ぜ込むなど、炭水化物メニューにプラスして食べられるものを探してあげましょう。

幼児食

食べ物から栄養をとる時期。食べられるものが炭水化物に偏ると、タンパク質やビタミン・ミネラル、食物繊維が不足します。目安量ほど食べられなくても、元気に過ごしているのであれば心配はいりませんが、子どもが食べやすくなるメニューの工夫や、子どもが好む食べ物を見つけられるように、少しずつ、いろいろな食材を試してみましょう。

たとえば、青のりやごま、かつお節、しらす干しなどをごはんにふりかけたり、パンケーキにすりおろした野菜を混ぜて焼いたり、いも類や未精製の穀類(胚芽米、全粒粉)を取り入れたり。主食となる炭水化物と一緒にとれる栄養を増やしていくのも手です。

とはいえ、自己主張が出てきて、好みがはっきりしてきたり、こだわりが強くなったりする時期でもあるので、無理に食べさせようとすると反発することも。この時期はいろいろなメニューを食べる経験を増やして楽しく食べられるようにすることが大切なので、大人と一緒に料理をしたり、絵本などで食材を覚えたり、子どもが食べることに興味を持つような働きかけも、同時にしていきたいですね。

野菜の苦みや酸味を受け入れるのには時間がかかる。
将来的に食べられるようになるための練習を

離乳食・幼児食の時期は、味覚を育てる大切な時期です。赤ちゃん・子どもは甘みのある味を好むので、野菜の苦みや酸味などを受け入れるのには時間がかかることが多く、野菜が苦手なことは珍しくありません。

栄養面については、トマトはダメだけどにんじんは食べられる、ほうれん草はダメだけどブロッコリーは食べられるなど、食べられる野菜がいくつかあればそれほど心配する必要はありません。食べられる野菜がほとんどない場合も、いも類や豆類・海藻・小魚など野菜以外の食材から、ビタミン・ミネラル・食物繊維などを補給できます。

とはいえ、将来的にはいろいろな野菜をバランスよく食べてほしいものです。赤ちゃん・子どもは苦手な食材を見た目で拒否することも多いので、小さく刻んで好きなメニューに混ぜるなど、食材そのものの味や形をわかりづらくしておき、徐々に食材そのものを味わう経験を増やしていくといいでしょう。型抜きなどを使って野菜をくり抜いたり、盛り付けをかわいくしたりと、見た目で楽しく食べられる工夫をするのもおすすめです。

野菜ジュースよりポタージュスープが◎

野菜不足を補おうとして、野菜ジュースや野菜入りのおやつを食べさせることもありますが、あくまで補助的なものなので、野菜そのものを食べる工夫を根気よく続ける必要があります。

また、みそ汁などの汁だけでも飲んでくれればと思うこともありますが、汁に溶け出す栄養素はごくわずか。野菜そのものを食べる代わりにはなりません。

野菜の栄養をしっかりとるなら、ポタージュスープがおすすめです。ただ、離乳食・幼児食では固形物を噛んで食べる力をつけることも大切なので、その場合は野菜以外のメニューでしっかり噛んで食べるようにしてください。

好き嫌いはあってもいい。
苦手な食材とうまくつき合いながら、
食べることを楽しむ気持ちを育てよう

好き嫌いなく、なんでもよく食べてほしいと願うのは親として当然です。とはいえ、好き嫌いは誰にでもあること。大人でも苦手な食材はありますよね。

にもかかわらず、食べることを無理強いされたり、食べられなくて怒られるなど嫌な思いをしたりすると、ストレスを感じて、ますます食べられなくなることも。そうなると親も辛い思いをしてしまいます。

少しくらい好き嫌いがあったとしても、ほかのもので栄養が足りているなら焦る必要はありません。食べることは一生を通して大切なことなので、無理に食べさせようとするのではなく、苦手な食材とうまくつき合いながら、豊かな食生活を営む力をつけることを大切にしましょう。

まとめ

離乳食・幼児食の時期は味覚を育てているときなので、苦みや酸味がある食材など、苦手なものがあるのは当たり前。極端に苦手なものが多くて、成長や健康に不安がある場合は専門家に相談したいですが、基本的には個性や意欲を大切に、楽しく食べることを心がけましょう。

ママ・パパが笑顔で一緒に食べたり、ほめてあげたりすることも、食べたい気持ちにつながります。楽しい食経験が増えると、成長するにつれて徐々にいろいろな食材を食べられるようになることもあるので、時にはお弁当にする、お友だちと食べるなど、気分を変えて楽しむのもいいでしょう。

(構成・文/たまひよ編集部)

【取材協力・監修】
中村美穂先生:管理栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。
保育園栄養士として乳幼児の食事作りや食育活動、地域の子育て支援事業に携わった経験を活かし、料理教室や書籍等のレシピ提供を行う。2児の母。
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