超熟®でアレンジいろいろパン離乳食

Pasco超熟

手づかみ食べっていつから?
スプーン・フォーク、お箸の始め方は?
管理栄養士に聞く「始めどき」と
「食べさせ方」のポイント

「手づかみ食べっていつから?」「スプーン・フォーク、お箸の練習はどう始める?」など、子どもの食べさせ方について悩むことって多くあります。親としては、育児書に書いてある目安や、月齢が近いお友だちの進み方が気になってつい焦ることもありますが、「いちばん大切なのは、子ども自身の意欲と達成感」と管理栄養士の中村美穂先生。親子が笑顔でステップアップするためのポイントを教えてもらいました。

手づかみ食べ
自分から食べ物に
触ろうとするようになったら、
やわらかいメニューで挑戦

手づかみ食べを始める目安

歯ぐきでつぶせるかたさの固形の離乳食(茹でたにんじん、食パン、バナナなど)が食べられるようになるころ(個人差はありますが、8ヵ月~9ヵ月ごろ)が、始める目安となります。そのころにはおもちゃなどを手でつかむことができ、自ら食べ物に触ろうとするしぐさも見られます。

手づかみ食べが子どもの成長に与えるメリット

手づかみ食べは、目・手・口の協調運動を促し、自分で上手に食べるようになるまでの大切なプロセスです。子どもの意欲を引き出して、楽しく食べることにもつながります。
食べ物を手で口へ運ぶ練習を重ねることで、手指の動きや握り方のコントロールが上手になり、スプーンやフォーク、箸などをスムーズに使えるようになるほか、一口量を覚えることで詰め込みすぎや丸のみの予防につながります。

こんなメニューから始めよう

始めは赤ちゃんせんべいや食パンのように口の中で溶けやすいものや、やわらかく煮たにんじん、バナナなどやわらかいものがおすすめです。

慣れてきたら、歯ぐきでつぶせてのどに詰まりにくいやわらかさで、手にべたつかないものを用意しましょう。具体的には蒸しパン、パンケーキ、フレンチトースト、ごはんのおやき、お好み焼き、肉だんご、ハンバーグなどがおすすめです。おにぎりはラップで小さく握り、べたつかないようにかつお節やちぎった焼きのり、きな粉などをまぶすといいでしょう。

子どもが好むものを中心に、炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラルがコンパクトにバランスよくとれるメニューを増やしていくと、自分で食べる練習と栄養補給を兼ねることができて、後期・完了期の離乳食が充実します。

大きさは、角切りをつまむことから始めて少しずつサイズを変えましょう。慣れてきたら(1才ごろ)一口では食べられない長さにして手に握らせ、一口大をかみ切って食べることで適量をコントロールできるように練習していきましょう。

ママ・パパへのアドバイス

始めは手で食べ物に触るだけで落としてしまったり、口に運んでも上手にそしゃくできずにテーブルや洋服にこぼしてしまったり…手づかみ食べ自体は、8・9ヵ月~1才代にかけて続けることなので焦らずじっくり取り組みたいですが、ママやパパの負担が大きいと感じてしまうこともありますよね。

そんなときは、メニューを手づかみ食べ用と大人がスプーンで食べさせる用に分け、液状のものや油分の多いもの(例:ミートソーススパゲティ)など、汚れやすいメニューを避けるのもコツです。また、手づかみ食べ用のメニューを平皿にひとつずつのせ、食べたら次の分をのせるようにすれば、こぼす量が減り、詰め込みすぎることもなくなります。

時には大人が手を添えて手伝いながら、明るくやさしく声をかけ、上手に手づかみ食べができたら褒めてあげることも忘れずに。

スプーン・フォーク
手づかみ食べと並行してスタート。
食材をすくいやすい器を
用意してあげるとスムーズ

スプーン・フォーク食べを始める目安

1才ごろを目安に、手づかみ食べと並行してスプーン食べの練習を始めるといいでしょう。手づかみ食べが好きではなく、スプーン食べのほうが上手な子もいるので個人差がありますが、手づかみ食べ用とスプーン食べ用(汁もの、煮もの、おかゆなど)でメニューを分け、子どもがスプーンを持つときは大人が手を添えてサポートしながら始めましょう。

また、スプーン・フォーク食べをする際は、食器に反対の手(左手)を添えて、食器が動かないようにすることもセットで覚えられるようにしたいですね。こちらも大人が手伝いながら、食器をおさえて食べることを教えます。そのほうが安定して上手にすくえることを覚えられて、食事マナーも身につきます。

スプーン・フォーク食べが子どもの成長に与えるメリット

手づかみ食べ同様、自分で上手に、楽しく食べる力を育みます。スプーンですくうことはテクニックが必要で、始めは上手にできないので、練習をする必要があります。フォークはさしたり、麺類をひっかけたり、スプーンよりもフォークが適したメニューに使うので、スプーンと一緒に用意しておき、メニューによって使い分けて練習しましょう。
スプーンもフォークも、お箸を上手に持つために必要な手の動きの発達を促すことにもなります。

こんなメニューから始めよう

スプーン食べは乱切りのにんじんや大根などをやわらかく煮たもの、とろみのあるスープやシチュー、おかゆなどから始めるのがいいでしょう。フォーク食べはハンバーグやバナナなど、やわらかく、さしても形が崩れにくいもの、麺類などひっかけやすいものがおすすめ。カレーライスやスパゲティ、コロコロとした煮ものや肉だんごなどもいいですね。

スプーン・フォークは、持ち手が握りやすい太さで丸みがあり、口に入れやすい大きさのものを選び、ふちに立ちあがりのある食器に入れてあげると、子どもがすくいやすくなります。

ママ・パパへのアドバイス

1才代は、手づかみ食べと並行して、スプーン・フォーク食べを進める時期。メニューによっては手づかみ食べでもいいですが、汁気のあるメニューは避けるほうがベター。手がべたついて食べにくくなるうえ、遊び食べにつながりかねません。ただ、汁ものの具や麺料理の麺だけを皿に取り出して手づかみ食べするのはOKです。

また、この時期は個人差があり、手づかみ食べしかしたがらないという子も。だからといって焦る必要はありません。ただ、いろいろな栄養をとりたい時期なので、手づかみ食べのメニューにも野菜などをバランスよく取り入れてあげましょう。同時に、汁ものをお椀から飲む練習も進めましょう。

お箸
スプーン・フォークが上手に使えて、
鉛筆で線など書けるようになったら。
習得には時間がかかるので気長に練習を

お箸の練習を始める目安

お箸は手指の高度な動きが必要となるので、スプーン・フォークが上手に使えて、鉛筆で線などを書けるようになってから使い始めます。最初だからと矯正箸などを使う必要はなく、一般的な子ども用のお箸で練習を始めてOK。個人差がありますが、上手にできるようになるのはおおむね4、5才ごろ。小学校に入学するまでに完成することが目標なので、焦らずゆっくり進めましょう。

ただ、中には3才ごろからお箸を持ちたがる子も。その場合はスプーン・フォーク食べと併用しながら始めてもいいでしょう。また、3才ごろからお箸を持ちたがる場合は矯正箸を使い、はさむ手指の機能を補助して使いやすくするのも、楽しく食べるために役立つことがあります。

こんなメニューから始めよう

つるつる滑るものははさみにくいので、始めはとろみやソースなどがついていないメニューがおすすめです。また、食材が小さすぎても大きすぎてもはさみにくいので、食材の大きさにも注意しましょう。角切りの煮ものや小さく切った卵焼き、ハンバーグ、肉や魚の衣焼きなどが、滑らず、はさみやすいでしょう。

お箸に慣れてきたら、とろみのついた煮ものなど、少し滑りやすいメニューにも挑戦しましょう。大きいもの(ハンバーグなどやわらかいもの)はお箸で一口大に切ってからはさむなどステップアップし、鮭やあじなど魚の塩焼き(骨に注意して)が上手に食べられるようになったらほぼ完成です。

和食でお箸を使うときは、お茶碗や汁椀などは手で持ち上げて食べ、ほかの器は手でおさえるなど、反対の手を使うことも伝えるようにすると、きれいに食べられるようになります。

ママ・パパへのアドバイス

お箸は大人でも難しい道具なので、子どもが上手に使えるようになるには時間が必要です。焦らず、じっくり練習させてあげましょう。また、お箸の練習を始めたからといって、手づかみ食べや、スプーン・フォーク食べがNGということはありません。パンやおにぎりなど手づかみしやすいメニューは手づかみで、まだお箸で食べるのが難しいメニューはスプーン・フォークでと、料理によって使い分けて構いません。

おやつの時間に、角切りにしたパンやきな粉マカロニなど、お箸ではさみやすいメニューを用意して練習するのもいいでしょう。大きなお皿から大人のお皿と子どものお皿に取り分けるなど、遊び感覚を取り入れると、親子ともリラックスして練習できます。慣れてきたら、大豆のような小さな食材にもチャレンジしてみましょう。

まとめ

食事は「楽しく」が基本!大人が正しいマナーを見せることも忘れずに

スプーンやフォーク、お箸を上手に使えるようになることは、食事をきれいに食べるうえでとても大切です。とはいえ、焦ってやらせようとすると、親子ともストレスに。

まずは子どもが「食事が楽しい」「食べることが好き」と感じることが大切です。手づかみ食べも、スプーン・フォーク食べ、お箸の練習も、子どもが達成感を味わえるように、最初はお皿に少しずつ盛って「できた!」の喜びをたくさん経験させてあげましょう。子どもが上手にできたら、たくさんほめてあげることも欠かせません。自分の力で楽しく食べられる土台を作ってあげることは、その後の偏食予防にもつながります。

ただし、食べ物で遊んだり、食具の持ち方が間違ったりしているときは、きちんと指摘します。子ども自身はまだマナーを身につけられなくても、間違ったことをしたときに大人がサポートしたり、一緒に食べるママやパパが正しいマナーを見せたりすることで、少しずつ食事のマナーが身についていきます。

(構成・文/たまひよ編集部)

【取材協力・監修】
中村美穂先生:管理栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。
保育園栄養士として乳幼児の食事作りや食育活動、地域の子育て支援事業に携わった経験を活かし、料理教室や書籍等のレシピ提供を行う。2児の母。
HP:おいしい楽しい食時間