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特集「超熟®」20周年01「超熟®」とは?を考えた人

「超熟」に感じた可能性、そしてぶれない本質

青木 幸弘 学習院大学 経済学部学部長

青木 幸弘 あおき ゆきひろ

学習院大学 経済学部学部長
専門はマーケティング論(特に消費者行動分析、ブランド・マネジメント)。2000年より「超熟」のブランディングに携わる。『消費者行動の知識』『価値共創時代のブランド戦略』など著書多数。

盛田社長の意気込みを感じた、20年前の出会い

ブランディングの指導のため、定期的に行われているPasco社員とのディスカッション ブランディングの指導のため、定期的に行われているPasco社員とのディスカッション

盛田社長に初めてお会いしたのは1999年、「超熟」が発売されてから1年ほど経った頃です。ロングセラー・ブランドについて講演させていただく機会があったのですが、そこで少し怖い顔をして聞き入っていらしたのが盛田社長でした。
講演後の懇親会でお話しした時、「実はうちから「超熟」という面白い食パンが出て」という話があり、「超熟」を単なるヒット商品ではなくロングセラーとして育てていきたいという強い意志を感じたのがとても印象的でした。
当時、Pascoは業界トップとの差が大きいことへの問題意識がありましたが、盛田社長は「食パンカテゴリーに限定すれば十分トップになれる。
それが社員を元気づけ、会社の成長にもつながる。そのために「超熟」をロングセラー・ブランドにしたい」というお考えをお持ちでした。講演会の時のあの厳しい表情は、ブランディング※1を真剣に考えていた意気込みの現れだったのだと後で納得しました。

そこからご縁があり、Pasco社内に「超熟」ブランド育成チームが発足した2000年以降、「超熟」のブランディングに携わらせていただいています。

  • ※1 ブランディング:ブランドを構築するための中長期的な取り組み。

ブランディングに必要な、「超熟」ならではのイノベーション

初めに「超熟」をブランド化したいというお話をいただいたときは、正直なところ、ホールセール※2のパンにおいてブランドの育成というのはなかなか難しいのではと思いました。
歴史を背負ったラグジュアリーブランドは別として、工場で大量生産される商品をブランディングするには、基本的に何らかのイノベーションが必要です。われわれが何かに価値を感じる時、その源泉は稀少性と有用性なのです。ただ、この稀少性というのは、ダイヤモンドのような絶対的な意味での稀少性だけでなく、“その会社でしかつくれない”という相対的な意味での稀少性であっても十分価値になります。
では、「超熟」におけるイノベーションや新たに生み出された価値とは何であったのか。「超熟」登場前、ホールセールのパンは、パサパサしていてミミも硬いというのが常識でしたが、工場のラインでは難しいとされていた「湯種製法※3」を取り入れた「超熟製法※4」を導入し、ミミまでやわらかく、小さい子どもからお年寄りまでおいしく食べられる口どけの良いパンを提供できるようにしました。このパンの製法革新というイノベーションと人々の暮らしを変える新たな価値の提供という事実を知った時、「超熟」がロングセラー・ブランドになり得る可能性を感じました。

  • ※2 ホールセール:工場で製造したパンをスーパーやコンビニなどに供給する方式。
  • ※3 湯種製法:小麦粉の一部を熱湯でこねる製法。小麦粉のでんぷんが変化し、もちもちとした食感になる。
  • ※4 超熟製法:小麦粉を熱湯でα化し、低温で長時間じっくり熟成させ焼き上げるPasco独自の製法(特許第5210916号)。α化とは小麦粉のでんぷんが熱エネルギーによって変化し、粘りが出てもちもちとする状態のこと。

「超熟」とPascoに共通する、本質的なものづくり

「超熟」ブランドを共通認識するためブランドブックを制作 「超熟」ブランドを共通認識するためブランドブックを制作

「超熟」の本質とは、毎日食べても飽きない炊きたてのご飯のようなおいしさ。ブランド化するには、もちろんネーミングの良さやパッケージデザインの良さも必要ですが、それだけでブランドができるわけではありません。その商品が提供できる価値がきちんと伝わっていくことが、とても重要なポイントです。
「超熟」の興味深い特徴の一つに、引き算型の発想で生み出された商品という点があります。パンのおいしさを高めていくために通常は何かを足すという足し算型で発想しますが、「超熟」はそうではなく余計なものを取り除いていき、本質的な価値を研ぎ澄ましていった。

それが後に「こむぎあじ」という表現につながり、「イーストフード・乳化剤不使用」という新たな価値提案につながっていくのですが、その発想が最初の商品開発の段階ですでに確立されており、そこにすごく面白さを感じました。
Pascoの企業理念の根底には、食糧難の時代から続く「パンを通じて人々の食に貢献したい」という想いがあり、本質的なものづくりをずっと追求し続けている会社だと思います。流行だからブランドをつくるということではなく、本質的なことを考えて、やった方がいいことはやっていく。「超熟」に国産小麦を入れたことも同じです。価格面での問題や原料配合の面で問題があったとしても、食料自給率向上のために必要なことだから、課題を解決しながら取り組んでいく。そういう姿勢はPascoという企業の中に一貫して流れており、また、「超熟」というブランドの中にも共通して流れているものだと思います。
その点で「超熟」は、まさにPascoの企業姿勢を象徴するブランドだと言えます。

今まで以上に重要な、「超熟ブランド」のこれから

「超熟」は20周年を迎えましたが、世の中の超ロングセラーからすると、まだまだ駆け出しのブランドだと言えます。もちろん、20年以上続いているブランドは少ないですが、これからの25周年、30周年に向けてどうやっていくのか、今まで以上に重要な時期になるのではないでしょうか。
私は、これまで数多くのロングセラー・ブランドを研究してきた結果、ブランドが衰退ないし崩壊していくのは、ブランドマネジメントにぶれが生じた時だと考えています。その点、盛田社長は全然ぶれていない。
「超熟」の本質の部分を人一倍考えていて、目先の動きを追いかけるのではなく、食品会社として何が大切なのか、何が求められているのかということを先を見据えて取り組まれている。そこが一番大切だと思います。盛田社長がぶれなければ社員もぶれませんから。

食生活自体が20年前とは大きく変わりましたし、その中でパンの位置づけも変わってきています。今後は、パンの購買でもネット通販やドラッグストアの比重が増大するなどといった、流通の変化、新しいチャネルへの対応が重要になってきます。そういうパンを取り巻く環境変化にどう合わせていくのか。ただし、これを取ってしまったら「超熟」ではない、という部分は、絶対に守っていく必要がある。次の10年、20年に向けて一番大切なことは、全社員が「超熟」とは何かを意識し、守るべきものを守った上で、変えるべきは積極的に変えていく、という切り分けだと思っています。