トップコミットメントPascoブランド統合20周年を迎えて -2

この20年で社会の変化とともに、お客さまの生活も大きく変化してきました。

社会や時代が変わっても、Pascoにはずっと提供し続けている定番商品があります。そして、そこに積み重ねられた技術やぬくもりのようなものを感じます。

たとえば「超熟」が持つ、機能的価値と情緒的価値という基本を変えるつもりはありません。ただし発売当時の「超熟」と比べると、今の「超熟」の中身は進化しています。一番わかりやすいのが添加物で、現在は乳化剤やイーストフードは不使用です。なぜかというと添加物を好まないお客さまが増え、その声に応えるためにそれらを使わない製法へ変えたのです。とはいえお客さまが望むからと、製法をいきなり変えたらこれまでと同じ品質は保てません。設備投資なども行いながら品質維持ができる前提で、製法と原材料を変えてきました。

歴史を持つ会社として「あるべき姿」を冷静に考え、未来を見据えているということでしょうか。

基本的に会社は社会から生かされていると考えているので、「社会に対して会社は、どういう存在価値があるのか」ということに尽きると思います。何百万人ものお客さまにパンを買っていただいて会社が成り立っているので、「お客さま＝社会」です。Pascoが期待されていることは何か？を考え続けていかないと、社会から支持されなくなります。だからこそお客さまの声を常に意識して、関心を持ち続ける必要があるのだと思います。

最近、注視していることはありますか？

コロナ禍の3年で、大きな社会変革と行動変容が起きています。それに対してPascoがきちんと対応できているかどうか。それをとても気にしています。

この20年間、社会が大きく変わる中で、Pascoも変化してきましたが、変わらなかったものもあるはずです。

まさに創業の理念がそれですね。Pascoでは2020年の創業100周年を機に、経営理念に「ウェルビーイング」、「ダイバーシティ・インクルージョン」※6といった考えを取り入れました。それは社会の要請として出てきたものです。ただし、「事業を通じて社会に貢献する」という創業の理念は変えていません。これだけは変えてはいけないものだと思っています。

※6:多様性を受け入れ、良い部分を認め合う考え方

創業の理念は、羅針盤のようなものですか？

創業の理念は私たちの考え方の基本であって、未来を指し示す羅針盤ではありません。明確に明日のことがわかる羅針盤があったらどんなに楽なことかと思いますが、そのような便利なものはないので皆さん思い悩んでいるのではないでしょうか。これからの時代と状況をどう捉えて、どう判断するのかが、ますます大事になると思います。

最後に、今年統合20周年を迎えたPascoブランドへの思いを聞かせてください。

Pascoブランドは何となくのイメージではなく、日々の活動の積み重ねや企業姿勢というナラティブに裏付けられています。「超熟」にしても国産小麦の取り組みにしてもそれらには単純な商品特徴だけでなく、私たちが「どういう思いでどう取り組んできたか」というナラティブがたくさんあります。社員一人ひとりがそれを理解し語れることが自らの自信となり、それが今後もPascoブランドを守り育て、Pascoの持続的発展につながっていくと考えています。

本日はありがとうございました。

ありがとうございました。