
障がい者雇用パン屋開業|未経験から地域を笑顔にするパン屋さんになる方法
障がいを持つ方々が、地域の方々との交流ややりがいを感じながら働ける場を目指して、開業されるパン屋さんが増えてきました。障がいを持つ方の雇用の場としてパン屋さんを開業するには、バリアフリー設備や人材育成、衛生管理など、気を付けるべきポイントがあります。
この記事では、障がいを持つ方が働くパン屋さんを開業・運営するやりがいや課題と対策を解説。さらに困った際に相談できる支援機関、現場で役立つ冷凍パン生地の活用事例まで、成功に向けたヒントをご紹介します。
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目次[非表示]
ともに成長し、地域を笑顔にする!障がいを持つ方と働くパン屋さん開業の魅力
その道にいたる経緯はそれぞれですが、魅力ややりがいを感じている部分は共通するところが多く、そのなかでもよく見受けられるやりがいは以下の3つです。
パン作りを通して、人の成長を間近で感じられる
傍で見ながら障がいを持つ方々の成長の過程に携われることに、多くの方がやりがいを感じています。
- こだわりが強く作業が思うように進まなかったのに、気にせずできるようになった
- 周囲のことが見えていなかったのに、気が利くようになった
といったポジティブな変化があると、周囲の人々もやりがいを感じるかもしれません。
予想外の発見や感動、新たな価値観に出会える
多様なチャレンジを促すことで、思わぬ発見を得ることも、やりがいとしてよく声が上がります。
その一つが気付けばスタッフの「できること」がどんどん増えていることです。例えば、ベーカリーでは各自が担当業務を持ちますが、袋詰めを担当していたスタッフが簡単な指示だけで片付けや洗い物まで自発的に取り組まれたこともあるそうです。
障がいの有無を超えて、仲間同士が助け合いながら働く姿は、かけがえのない財産になります。
また、予想外の嬉しい事が起きることもあるそうです。
例えば、カフェが併設されているパン屋さんでは、スタッフが文字を覚えたあと、カフェのテーブルに「お仕事お疲れさまです」と書いたメッセージカードを置くようになりました。そのカードを見たお客さまが返事を書き、今では温かなコミュニケーションが生まれているそうです。
こうした障がいを持つスタッフの想像を超える成長や、心温まる機会に出会えることも大きな魅力の一つです。
地域とのつながりが生まれ、お互いの価値を発揮し合える
地域とのつながりが生まれ、互いの価値が引き出される場所になることもまた大きなやりがいになります。
例えば、
- 働くスタッフは、パン作りを通じて達成感を得ながら、収入を得る
- 来店したお客さまは、パンを購入することで「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えられる
お客さまは、障がいを持つスタッフが真剣に働く姿に触れ、心が温かくなったり、誰かに優しくしようと思ったり、自分も頑張ろうと思ったりすることがあるようです。
このように、互いの存在が刺激となり、価値が循環する場所が生まれています。 あるパン屋さんのスタッフは「こうしたよい流れが続く場所になれば」と話しています。
成功への道で乗り越えるべき壁:障がいを持つ方雇用のパン屋開業の課題と対策
魅力ややりがいあふれる事業ですが、障がいを持つ方と一緒に心地よく働ける場をつくるために、いくつか気を付けたいポイントがあります。
バリアフリー対応と作業環境:具体的な設備と工夫
働きやすい職場をつくるには、バリアフリー化と作業しやすい環境づくりが重要です。設備や補助具を整えることで、障がいを持つスタッフも持てるスキルを存分に発揮できます。
パン作りの現場では、次のような工夫が行われています。
- 工房内は通路を広めに確保し、動きやすくする
- オーブン周りなど危険エリアは床の色を変えて注意喚起する
- コンセントは床ではなく天井から吊るして、つまずきを防止する
- 機器の近くに手順書を貼り、作業の流れを明確にする
- 使用済みと未使用のトレイを区別するためにコーン標識を設置する
このような工夫によって、作業がスムーズに進み、安全性も高まります。
従業員とのコミュニケーション:信頼関係を築くポイント
障がいを持つスタッフにとって、職場での声掛けや雑談はとても重要です。双方向のコミュニケーションが活発に行われることで、職場が明るくなりスタッフの定着率の向上にもつながります。
あるパン屋さんでは以下のような声がけを実践しています。
- オーナーから「最近どう?」など、気軽な会話をする
- こまめなやり取りを増やして、仕事の話から趣味の話まで広げる
- スタッフが諦めそうになったときに「あと1つだけ頑張ろう」と励ます
普段からの明るい職場づくりや、「ここまででいいよ」と限界を決めるのではなく、スタッフの可能性を信じる姿勢が、結果としてスタッフの成長につながるそうです。
人材の確保と育成:採用方法、研修プログラム
障がいのあるスタッフを採用する際、最初からすべてのスキルを求める必要はありません。基本的な条件を満たせば、あとは実際の仕事を通じて少しずつ成長してもらうことができます。
あるパン屋さんでは、以下のような採用と育成の工夫を実践しています。
- 採用時の条件は「通勤できる」「一人で着替えられる」「挨拶ができる」の3つのみ
- 現場ではOJT形式で作業を教える
- スタッフごとの得意・不得意を可視化したスキル表を導入し、本人とも共有
- 毎週パン教室を開催し、スキル向上の機会を集中的に提供
苦手な部分はスタッフ全員でフォローしながら、小さな成功体験を積極的に褒めて、自信を育てる育成方針によって、障がいを持つスタッフが自然と力を発揮できるようになります。
経営と顧客対応:品質管理、顧客満足度向上
パン屋の運営で特に重要なのが、衛生と品質管理です。
障がいを持つ方のなかには、集団作業や迅速な動きが難しい方もいるため、効率や品質が課題になりがちです。さらに一部の消費者からは「衛生面は大丈夫なのか?」という懸念の声もあります。
そのため、衛生ルールを徹底し、信頼を得ることが必須です。
- 手洗い講座を定期的に実施
- 蛇口は肘や腕で操作できる長い取っ手を採用
- 作業工程の見直しを継続的に行う
このような取り組みにより、衛生面の信頼性が向上し、安定した売上や経営基盤の構築にもつながっています。
頼れる支援機関一覧|障がいを持つ方雇用のパン屋を支える相談窓口
障がいを持つ方の雇用を進める際は、制度や実務に関する不安を感じることもあるでしょう。事業を継続していくなかで、採用後のサポート体制や人材定着に悩む場面も出てきます。そのようなときに心強いのが、無料で利用できる公的支援機関です。以下の表で、代表的な相談窓口とその特徴を分かりやすくまとめました。
支援機関名 |
主な役割 |
事業主向けの対応内容 |
活用メリット
(事業主目線)
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ハローワーク
(公共職業安定所)
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障がい者雇用の総合窓口 |
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地域障害者職業センター |
専門的な就労支援 |
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障害者就業・生活支援センター |
生活面も含めた総合支援 |
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まずはハローワークに相談することで、他機関との連携も含めた一括支援を受けられます。
各支援機関には直接相談も可能。その際は、自社の採用方針や支援してほしい内容を明確に整理しておくとスムーズです。
安定した品質と効率的な現場づくりを実現するなら、Pascoの冷凍パン生地
パン屋の開業を目指すなかで、障がいを持つ方の雇用にも取り組みたい。そのような思いを持つ方にとって、日々の製造現場をどう回していくかは大きな課題です。
「毎日安定した品質で提供できるのか?」「人によって技術差があるなか、どう教育するのか?」
こうした不安を一気に解消できるのが、Pascoの冷凍パン生地です。
この冷凍生地は、あらかじめ成形前の状態で冷凍されたパン生地を、必要な分だけ解凍して焼き上げるだけ。仕込みや難しい成形の工程が省略できるため、作業手順がシンプルかつ習得しやすいのが特長です。
例)
- 定番の食パン:「解凍→整形→発酵→焼成」の4ステップで基礎を習得
- 青森県産ふじりんごのパイ:「解凍→焼成」だけの2ステップ。初心者の導入に最適
レシピも事前に用意されているため、マニュアル化がしやすく、研修にも時間をかけすぎずに済みます。障がいを持つ方でも、得意な工程から始めて徐々にスキルアップできる環境を整えやすくなります。
さらに、冷凍だからこそロスも少なく、在庫調整がしやすいというメリットも。予測しにくい販売状況のなかでも、無理なく「量」と「質」の両立が実現できます。
「障がいを持つ方の働く場所をつくりたい」「地域に根ざした店舗を持ちたい」と考えている方にとって、この冷凍パン生地は、経営の安定と社会貢献の両立を支える強力な味方になるはずです。
まとめ
この記事では、障がいを持つ方の雇用とパン屋開業を両立させるためのポイントについてご紹介しました。
- 障がいを持つ方とともにパン屋さんを開業するやりがい
- パン屋さんを開業する際のポイント
- Pascoの冷凍パン生地を活用した効率的な製造プロセスの構築
こうした視点を取り入れることで、障がいのあるひとも安心して働ける職場を実現し、地域に愛されるパン屋を目指すことができます。
社会貢献と事業の安定、その両方を叶える選択肢として、ぜひ今回の内容を開業準備にお役立てください。
現在Pascoは、冷凍パン生地と焼成後冷凍パンの提供をはじめ、ひろくパンビジネスを支援する『パンたす』を展開。安定した品質・工程の簡略化を叶えるパンを全国に届け、就労継続支援事業所など福祉施設の事業主さまをサポートしています。
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